第107話：「退院後もすんなりと復活することはできなかった」

慢性となった下半身の神経痛で精神的なダメージが大きくなりつつあるところに、

更にもっと精神的につらい膀胱の原因不明の障害による小便の痛みや

不調が加わって来た。

ガマン出来ないほど急激に出るかと思えば、全く出なくなって苦しむなど、

頻尿と閉尿を好き勝手に繰り返し、小便の察知もコントロールも不可能な状態

で気持ちのやすらぐ時が無いことが続いた。

一応それを凌ぐ方法して“自己導尿”という、高度な医術を自分でやらねば

ならなくなった。

ど素人で歳とともに不器用さが増す一方の私がやるのだから予想した通りに

大変な痛みをしょい込んでいて、日々気力が減退して行き、一時は復活を諦めようと

た時もあった。

入院中に絶望感に襲われていた時、看護婦さんから“やらねばならない事が

いっぱいあるイチローさんは幸せな人なんですよ、頑張りましょうよ”と

気合を入れられたり、別な看護婦さんからは前の入院の時も言われたのだが、

“83歳にもなって元気盛りの若者達と真っ向勝負が出来るなんて人は

鹿児島のイチローさん唯一人なんです、頑張り甲斐がありますよね“などと

言われていたことなどを思い出しながら必死に気力をかき起こす日々だった。

そんな時ファンの人から大好物の“うなぎ”の差し入れがあったりして、

温かい励ましが続いたことでようやく本格的な復活への手ごたえを感じるように

なったのだった。

そして先頃、新聞の取材を受けられるまでに80パーセントの復活を果たせている。