第103話：「繰り返し襲って來る絶望感に気力喪失」

人一倍病気に弱い私は周りからおされ、おされしてようやく

放射線治療の為に長期間の入院をすることになったわけだが、

何か治療に付随する病気や困難が生じる度にいちいち絶望していた。

ブログにはあまり弱音を吐くことはしなかったが、実際は

のたうち回っていたのだ。

特に痩せ続けることと、色々と心配をすることから食欲不振

になるたどで、絶望感にさいなまれ、“もうダメかも知れない”と思ったのは

正月に四人部屋に一人取り残された時だった。

正月は一時退院も認められていたのだが、放射線治療がつらくて逃げ出す

ことばかり考えていた私は、家に帰ったが最後、もう二度と病院に戻る気持ちには

なれないことが分かっていたので、一人だったが病室に留まったのだった。

不安と淋しさで頭の中が真空になったような錯覚を覚えて、

このまま気が狂ってしまうのではないかという恐怖に襲われた。

トイレへ駆け込んで必死にシャドーボクシングをして、心臓がバクバク

するまで動きまわって、なんとか恐怖を振り払っていたのだった。

こんな時、メテオ・ドームでの若者達との戦いや、

三萩野バッティングセンターへの楽しい遠征の事などを思いだして

気分を紛らわそうとするのだが、全くその記憶が蘇って来ないのも

怖かった。

今思うと、人間追い込まれてしまうと気力がなくなって、

“もう、どうでもいい”という、最後の思考しか働かなくなってしまうことが分かった。

コレが一番怖いことだと思った。

ガンよりもはるかに怖い思いをした。

元気になった今思い出してもゾッとする。

もう二度と入院なんてものはしたくない。