第102話:「神経痛とコロナとガンの治療に於ける鍛錬法と情けない心情」

周りが病人だらけの世界に埋没してしまうと、何かにつけて“もうダメだ”と

スグ絶望してしまっていた。

こういう気持ちを少しでも防がねばと、気だるい体をおしてスイングパワーを

落とさないようにと、気力を奮い起こして“ゴム引き”スイングを

続けていた。

バットを短く切ったモノに、ゴムひもをくくりつけて、片方をベッドの鉄枠に

引っ掛けて、スイング動作をおこなうのだ。

十回も引くとスグ息が上がっていた。

ちょっとしんどくなると、精神的にも辛抱が効かずすぐにやめてしまっていた。

その為に一日に何度も何度も、気持ちを奮い立たさねばならなかった。

自分の取柄のはずの根気を失っていた。

“俺は鹿児島のイチローなんだ、メテオ・ドームのホームラン記録保持者としての

責任があるのだ“と思うと、どんなにしんどくても素振りをやれていたのに、

“もう、どうでもいいや”という、自分でも信じがたい投げやりな心持になっていた。

コレが一番怖かった。

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