第112話：前立腺ガンになって丸三年を生きた

私よりうんと軽かったはずの後輩二人が前立腺ガンで

僅か数か月で亡くなっている為に、発見時ステージ4で悪性だと

言われたことから、即刻死を覚悟して治療はしない事に決めた。

そして残り少ないであろう日々を遊びまわった。

しかし、死ぬどころか元気になって医師から免疫力が強いうちに

治療すればガンを克服できてまたホームラン人生を楽しめるように

なると言われ、ホルモン療法と放射線治療を行うようになった。

現在ガンは完解という、一応治っている状態にあるが放射線治療

の後遺症には悩まされたままで推移している。

体重が減ったり、神経痛は年々悪化の一途をたどっているので、

ホームランは打ちにくくなっている。

“もうこのまま衰えて行くのだろう”という状態にあるのだが、

時々大きなホームランを打てるので、未練たらたらで頑張り

続けている。

若者からは“いつまでのさばるつもりですか”と、本音の苦情を

言われている。

ホントこんなに長生き出来、しかもホームランを打てるとは

思ってもみなかった。

私のホームランを喜んで下さる人達が居られる限り石にかじりついて

でも頑張らねばと、相変わらず1400gの超・重量バットでの素振りを

続けている。